税理士のみなさん、最新記事「Optimism in productivity tempered by AI risk: Deloitte」は読みましたか。
AI投資に前向きな一方で、CFOたちがかなり慎重な姿勢も崩していないことが、この記事からよく伝わってきますね。

元記事を5つのポイントで要約

  • ほぼ全てのCFOが、今後5年間でテクノロジー投資(特にAI)が増えると見ている。
  • AIは「実験段階」から「本気で業績に効かせる段階」に入ったと感じているCFOが増えている。
  • ただしリスク許容度はそれほど上がっておらず、AIプロジェクトには厳しい目が向けられている。
  • CFOはIT予算の受け手ではなく、「テクノロジー戦略を主導する立場」として自覚している。
  • AIの価値は人材のスキルや教育とセットで考えるべきだという認識が強まっている。

AI投資の追い風

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CFOはこの先5年で、テクノロジー投資がさらに加速すると見ています。
特にAIは、生産性向上や利益改善の「本命ツール」として捉えられつつあります。

一方で、「何でもかんでもAI」とはいかず、成果が見えないプロジェクトはすぐに切られる空気もあります。
ここに、税理士が入り込める余地がかなり大きくあります。

AI投資の流れを理解して、会計・税務の現場から“意味のあるAI活用”を提案できる税理士は、クライアントから重宝されます。

AI投資が「当たり前」になる流れ

記事では、多くのCFOが「テクノロジー投資は景気に左右されない、構造的な投資だ」と見ていると紹介されています。
これは、工場の機械設備に投資するのと同じように、AIやITへの投資が“インフラ化”しているという感覚です。

経理・会計の現場でも、すでに次のようなツールは「使っていて当たり前」に近づいています。

  • freee会計やマネーフォワードクラウド会計の自動仕訳機能。
  • 弥生会計のスマート取引取込やOCR読取。
  • 請求書・領収書をまとめて読み込むスキャンアプリ。
  • Excel+AIアドインや、スプレッドシート+AI関数による集計補助。

こうしたツールは「ちょっと便利な機能」ではなく、CFOにとっては「人件費を抑えつつ決算を早く終わらせるための投資」です。
つまり、税理士が「どのツールをどう使うと、工数がどれだけ減るか」を数字で説明できると、CFOのテクノロジー投資ストーリーとピタッと噛み合います。

税理士が提案できるAI投資の型

AI投資と聞くと、大きなプロジェクトをイメージしがちですが、税理士が関われるのはもっと身近なところです。

例えば、次のような整理ができます。

領域 AI・IT活用例 税理士の関わり方
日常仕訳 クラウド会計の自動仕訳ルール、銀行API連携。 仕訳ルールの設計、例外処理のルール化。
請求・経費 請求書OCR、経費精算アプリのAI読取。 運用フローの設計、科目マスタの整理。
管理会計 スプレッドシート+AIで予測損益やシナリオ分析。 予測の前提設定、予算実績管理の枠組み作り。

AIそのものを作るのではなく、「どの業務に、どのツールをどうはめると効果が出るか」を設計できる税理士は、AI投資の“通訳”的なポジションを取れます。

CFOのAI観と期待

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元記事では、「AIに対して楽観的なCFOが増えた一方で、リスクの取り方はまだ慎重」というスタンスがはっきり示されています。
つまり「AIには期待しているが、数字で説明できないものにはお金を出しづらい」という空気です。

税理士としては、この“期待と慎重さのギャップ”を埋める役割を意識すると、提案の切り口が見えてきます。

楽観と慎重さのバランス

CFOがAIに期待しているポイントは、主に次のようなところです。

  • 人手不足の中でも、経理・財務の仕事量をさばけるようにしたい。
  • 決算を早めて、経営判断のスピードを上げたい。
  • 予測やシミュレーションを精緻にして、資金繰りの不安を減らしたい。

一方で、次のような懸念も強く持っています。

  • 本当にコスト削減や生産性向上につながるのか。
  • 現場に負担ばかりかかって、結局定着しないのではないか。
  • 情報漏えいなどのリスクをどう抑えるか。

ここで効いてくるのが、税理士が日々見ている「工数」「締め処理のスピード」「数字の精度」です。
AI導入で“どの作業時間が何時間減り、その結果として決算が何日早く締まるか”を、税理士が一緒に測定・説明できると、CFOはAIに投資しやすくなります。

財務目線でAI効果を見せる

CFOが知りたいのは「AIがどれだけカッコいいか」ではなく、「財務的に意味があるか」です。
ここで活きるのが、税理士・会計士が得意な“数字での説明”です。

例えば、次のような指標を一緒に追いかけるイメージです。

  • 決算早期化日数(例:月次締めが10日→5日になった)。
  • 経理・会計チームの残業時間の変化。
  • 予算と実績の差異分析にかかる時間。
  • Excelやスプレッドシート作業の削減時間。

これらをfreee会計、マネーフォワードクラウド会計、弥生会計の仕訳データや、Excelの作業ログからざっくりでも数字に落として見せると、CFOは「このAIは効いている」と判断しやすくなります。

AIの“見た目の派手さ”ではなく、“財務インパクト”を一緒に可視化することが、税理士がCFOに信頼されるポイントになります。

AIリスク管理の視点

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記事では、CFOが依然としてリスクに敏感であることも強調されています。
AI導入にあたっては、「統制が効いているか」「情報セキュリティは大丈夫か」といった観点が非常に重視されています。

税理士にとっては、この“リスク感度の高さ”はむしろチャンスです。
内部統制や監査、税務リスクに慣れているからこそ、AIのリスク管理面で頼られやすい立場にあります。

リスクを気にするCFOのリアル

CFOが心配しているAIリスクには、例えば次のようなものがあります。

  • 機密情報を外部のAIサービスに誤って入力してしまうリスク。
  • AIが間違えた内容をそのまま伝票やレポートに反映してしまうリスク。
  • 誰がどの判断をしたのか、後から追えなくなるリスク。

経理・給与・税務に関わる情報は特にセンシティブです。
マイナンバーや給与情報、役員報酬、未公開の業績見込みなど、AIにそのまま入れると危ういデータも多いですね。

AI活用に慎重なCFOに対して、“どの情報はAIに入れてよくて、どれはダメなのか”をガイドできる税理士は、リスク面での信頼を獲得しやすくなります。

税理士が担う「ガードレール」役

税理士・会計士は、もともと以下のような“ルール作り”に強みがあります。

  • 承認フローや職務分掌の設計。
  • 証憑の保存ルールやチェックリストづくり。
  • 税務上のリスクが高い取引の洗い出し。

この延長線上で、AI時代の「ガードレール」も設計できます。
例えば次のようなルールです。

  • ChatGPTなどの汎用AIに入力してよい項目・いけない項目の一覧を作る。
  • クラウド会計の自動仕訳は、一定金額以上や特定勘定科目は必ず人が目視確認するルールにする。
  • AIが作成した試算表コメントや経営レポートは、必ず税理士・経理責任者が最終レビューするフローを明文化する。

「AI活用のガイドライン」をクライアントと一緒に作るサービスは、税理士事務所にとって新しい付加価値メニューになり得ます。

人材とAI活用戦略

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元記事の最後のポイントは、「AIだけでは成果は出ず、人材のスキルや教育とセットで考えるべき」というメッセージでした。
これは、税理士・会計士・経理担当にとって非常に重要な視点です。

AIを入れれば勝手に効率化されるわけではなく、「AIに何をさせて、人は何に集中するか」を決めることが不可欠です。
この役割もまた、現場をよく知る税理士が担いやすいポジションといえます。

AI時代の経理・会計スキルとは

AIが得意なのは、パターン認識や単純反復作業です。
逆に、人が担うべき仕事は次のようなものにシフトしていきます。

  • 数字の“意味”を読み解き、経営にどう影響するかを説明すること。
  • システムやAIツールの設定を考え、「どのルールで動かすか」を設計すること。
  • イレギュラーな取引や、グレーゾーンの判断を整理し、方針を決めること。

ここで、税理士・会計士がクライアントの経理担当と一緒に、「どの業務をAIに任せて、どこを人が見るか」を棚卸しするだけでも、大きな価値になります。

AIを“敵”ではなく“部下”のように位置づけ、人と役割分担させる視点をクライアントに提供できるかどうかが、これからの税理士の差別化ポイントになります。

小さく試して学ぶ進め方

CFOも現場も、「いきなり全社導入」は怖いものです。
そこで税理士としては、次のような“スモールスタート”の型を提案しやすいでしょう。

  • まずは1部署・1業務(例:経費精算、振込データ作成など)に対象を絞る。
  • freee会計やマネーフォワードクラウド会計の自動仕訳機能を、1つの銀行口座や1つのクレジットカードから試す。
  • AIによる試算表コメント案を作成し、それをベースに税理士が最終版を仕上げるという“共作”スタイルにする。

このとき、税理士側で「導入前後でどれだけ時間が変わったか」「ミス件数はどう変わったか」を一緒に測ってあげると、次のステップへの説得材料にもなります。

小さく始めて効果を確認し、数字を添えてCFOに報告するサイクルを回せる税理士事務所は、AI時代に選ばれ続ける可能性が高まります。

まとめると、元記事が示しているのは「CFOはAIに期待しているが、成果とリスクを非常にシビアに見ている」という現実です。
この文脈の中で、税理士・会計士・経理担当ができることは、AIそのものを開発することではなく、「どこにAIを使えば数字として意味があるか」を一緒に設計し、運用とガードレール作りをサポートすることです。

テクノロジーに詳しい税理士である必要はありません。
クラウド会計やExcel、既存のツールの中にあるAI機能から一歩ずつ試し、クライアントと“数字で振り返る”姿勢を持つだけでも、CFOから見た税理士の価値は大きく変わっていきます。

よくある質問と回答

Q1:AI投資をすると、本当に決算が早くなるんですか?それとも導入に時間がかかって逆効果になる可能性もありますか?

Answer
決算が早くなるかどうかは、「何のAIを、どう使うか」によって大きく変わります。freee会計やマネーフォワードクラウド会計の自動仕訳機能など、すでに現場で実績のあるツールなら、導入3ヶ月程度で効果が見えることが多いです。一方で、カスタムで大きなシステムを入れる場合は、設定や検証に時間がかかります。税理士としては、「小さく始めて数字で測る」アプローチをお勧めしています。まずは1つのクレジットカードや銀行口座の自動取込をテストして、それで浮いた時間を可視化してからステップアップするのが失敗しない進め方です。CFOも経理も納得しやすくなります。

Q2:ChatGPTなどの生成AIに仕訳データや顧客情報を入力しても大丈夫でしょうか?

Answer
基本的には避けるべきです。マイナンバー、給与情報、役員報酬、未公開の業績見込みなどは、外部のAIサービスに入力すると情報漏えいのリスクが高まります。ただし、「商品の種類分けをしてもらいたい」「請求書テンプレートの案を作ってほしい」のような、機密情報を含まない業務なら使えます。税理士事務所としても、クライアントに「入力してよい情報・ダメな情報」のリストを一緒に作るサービスは新しい付加価値になります。これを機にガイドラインを整備しておくと、CFOからの信頼度が一気に上がります。

Q3:うちの事務所は小さいので、AI化なんて関係ないと思うのですが…

Answer
むしろ小さい事務所こそAI活用が効果的です。理由は、人手不足の中でも顧客サービスを守るためには、テクノロジーの活用が欠かせないからです。大手監査法人は新しいツールにも投資できますが、小規模な税理士事務所では工夫が大切。freee会計やマネーフォワードのAI機能、ExcelのAIアドインなど、月数千〜数万円の範囲で始められるツールは増えています。これらを使いこなすことで、スタッフ1人当たりの生産性を大きく高められます。また、クライアントのAI活用を一緒に考える過程で、新しいコンサルティング業務も見えてきます。

Q4:AIが仕訳を間違えた場合、責任はどこにあるのですか?税理士事務所に責任が及ぶことはありますか?

Answer
AIが作った仕訳を無審査でそのまま報告書に載せたら、それは税理士側の責任です。一方で、「AIが提示した仕訳案を確認した上で、税理士が最終的にゴーサインを出した」というプロセスが明確に残っていれば、税理士は指示が合理的だったことを示すことができます。重要なのは「どこで人が判断を入れるか」のルール作りです。特に金額の大きい取引や、税務的にリスクがある領域(移転価格、寄附金、特別償却など)は、AIの提案であっても必ず人が見直す仕組みを作っておくべきです。この”ガードレール”の設計が、これからの税理士の大事な仕事になります。

Q5:クライアントからAI導入について相談されたとき、税理士として何をアドバイスすれば、CFOに信頼されるでしょうか?

Answer
最初に聞くべきは、「なぜAIが必要なのか」「何を期待しているのか」です。多くのCFOは、意外なほど明確な目標を持っていません。「決算を5日早めたい」「経理スタッフの残業を減らしたい」「予測精度を上げたい」など、具体的な課題に落とし込んであげるだけでも、プロジェクトの成功確率が高まります。次に、「どの業務にどのツールを使うか」「導入前後で何を測るか」を一緒に決めます。freee会計やマネーフォワードクラウド会計なら数ヶ月で効果が見える領域から始めるのがコツです。そして、決算早期化日数や残業時間などの指標を3ヶ月ごとに一緒に振り返る。この「小さく試して、数字で測る、一緒に考える」というサイクルが、税理士としての信頼度を大きく高めます。