最近よく聞く生成AIですが、「税理士業務にどう活かせるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
気になってはいるものの、なんだか難しそうで手を出せていないという先生もいらっしゃるはずです。
そこで今回は、AI完全初心者の私が、思い切って有料版Geminiを使ってみたリアルな感想をお届けします。

なぜ有料版Geminiに課金したの?

周りの同業者がどんどん新しいツールを使いこなしていく中で、少し焦りを感じていたのが本音です。
無料のAIも少し触ってみましたが、仕事で本格的に使うなら一番良いものを試してみたいと考えました。

より賢いAIで業務効率化を

私が有料版に課金した最大の理由は、とにかく日々の雑務を減らして業務効率化を図りたかったからです
税理士の仕事は、申告書の作成だけでなく、お客様への連絡や調べ物など、多岐にわたりますよね。
特に確定申告の時期などは、猫の手も借りたいほど忙しくなるものです。

有料版のGeminiは、無料版に比べて思考力が高く、複雑な指示でもきちんと理解してくれるという評判を聞いていました。
どうせなら、より賢いアシスタントを雇うような感覚で、一番性能の良いモデルを試してみようと決心したわけです。
実際に使ってみると、こちらの意図を汲み取ってくれる精度の高さに驚かされました。

大量の資料もサクッと読み込み

もう一つの理由は、大量の文章やデータを一気に処理できる能力に惹かれたからです。
日々の業務では、何十ページにも及ぶ契約書や、国税庁の長い通達を読む機会がたくさんあります。

有料版Geminiは、長い文章をまるごと読み込ませて、要点を簡潔にまとめてもらうことができます。
例えば、顧問先から送られてきた長文の事業計画書を読み込ませて、「この会社の強みと弱みを3つずつ箇条書きにして」と指示するだけですぐに答えが返ってきます。
最初から自分で全て読み込むよりも、全体像を把握するスピードが格段に上がりました。

無料と有料、何が違うのか

Kling ベーシックプラン

いざお金を払うとなると、「本当にそれだけの価値があるのか?」と迷ってしまうものです。
私も最初は、無料版で十分なのではないかと半信半疑でした。

月額20ドルの価値はある?

結論から言うと、毎月20ドルを支払う価値は十分にあると感じています
もちろん人によって使い方は異なりますが、月に数時間でも事務作業を短縮できれば、十分に元は取れる計算になりますよね。
ここで、私が感じた無料版と有料版の主な違いを簡単にまとめてみます。

比較項目 無料版Gemini 有料版Gemini
回答の精度 日常会話レベルなら十分 複雑な論理や文脈の理解が得意
長文の処理 短い文章の要約向き 大量の資料を一度に処理できる
スピード感 混雑時は少し遅くなることも 優先アクセスで常にサクサク快適

回答の自然さと丁寧さ

使ってみて一番違いを感じたのは、出力される日本語の自然さです。
無料版だと、たまに機械を翻訳したような少し不自然な言い回しになることがありました。

しかし有料版では、まるで人間のアシスタントが書いたような、丁寧で違和感のない文章を作ってくれます。
特に私たち税理士は、お客様に対して失礼のない言葉遣いを心がける必要がありますよね。
そのままメールにコピペして少し手直しするだけで使えるレベルの文章が出てくるので、本当に助かっています。

面倒なメール作成を一瞬で

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税理士業務の中で、意外と時間を取られているのが「メールの作成」ではないでしょうか。
資料の催促など、相手に不快感を与えないように気を遣う文章は、考えるだけで疲れてしまいます。

角が立たない催促メールを作る

Geminiは、状況や相手との関係性を伝えるだけで、適切なトーンのメール文面を瞬時に作成してくれます
例えば、「顧問先へ、期限が過ぎている領収書の提出を促すメールを作って。ただし、相手を怒らせないよう、とても丁寧で柔らかい表現にして」と指示を出すだけです。

すると、相手の忙しさを気遣うようなクッション言葉を添えた、完璧な文面を提案してくれます。
これを少し自分流にアレンジするだけで、あっという間に送信準備が完了します。
心理的な負担が減ったのが、私にとって非常に大きなメリットでした。

Excelの複雑な数式も解決

経理データの集計や加工で、Excelを使う機会は非常に多いですよね。
freeeやMFクラウド、弥生会計などの会計ソフトから吐き出したデータを、手作業で整えるのは一苦労です。

そんな時、「A列の会社名とB列の金額を条件にして、合計を出す関数を教えて」とGeminiに質問してみます。
VLOOKUPやSUMIFSなど、使いたいけれど記述の仕方を忘れてしまった関数も、すぐに正しい数式を教えてくれます。

  • エラーが出た数式を貼り付けて原因を聞く
  • マクロ(VBA)のコードを書いてもらう
  • 効率的なデータの集計方法を相談する

上記のように、ちょっとしたパソコンの疑問をすぐに解決できる専属のインストラクターが横にいるような安心感があります。

税務リサーチの壁打ち相手に

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調べ物をする際、Google検索を使うことが多いと思いますが、情報が多すぎて迷子になることはありませんか。
Geminiを使えば、知りたい情報に最短距離でアクセスするためのヒントをもらうことができます。

検索より圧倒的に早い情報収集

特定の要件を満たすかどうか、ざっくりと概要を知りたい時にGeminiはとても便利です。
「〇〇の特例を受けるための要件を、素人にもわかるように箇条書きで教えて」と入力するだけで、綺麗に整理された情報を返してくれます。
いろんなウェブサイトを順番に開いて読んでいく手間が省けるので、リサーチの初動がとても早くなりました。

ただし、ここで一つ重要な注意点があります。
AIは平気で間違った情報を「もっともらしく」答えることがあるため、出てきた情報を鵜呑みにしてはいけません
最終的な判断を下す前には、必ず国税庁のホームページや専門書で裏付けを取るプロセスが必須です。

アイデア出しのパートナーとして

私はGeminiを、正解を教えてくれる先生ではなく、一緒に考えてくれる「壁打ち相手」として使っています。
例えば、お客様への提案内容に悩んだ時、「この業界の企業に対して、税理士の視点で提案できる節税策や資金繰り改善のアイデアを5つ出して」と投げかけてみます。

自分一人でウンウンと悩んでいるよりも、パッと複数の切り口を提示してもらえることで、思考の枠が広がります。
「なるほど、その視点は抜けていたな」と気づかされることも少なくありません。
一人事務所で相談相手がいない先生にとっては、とても優秀なパートナーになってくれるはずです。

注意すべきセキュリティ問題

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最後に、税理士として決して避けては通れないセキュリティの話をしておきます。
便利なツールだからこそ、使い方を間違えると大きな事故につながる危険性が潜んでいます。

顧客データは絶対に入力しない

私たちが扱う情報は、お客様の財産状況や個人情報など、極めて機密性の高いものばかりです。
そのため、AIのプロンプト(入力画面)には、顧問先を特定できるような情報は絶対に入力しないというマイルールを徹底しています。

  • 会社名や個人名、住所などは入力しない
  • マイナンバーや口座番号は論外
  • 具体的な売上金額や利益も伏せる

これらのルールは、自分だけでなく事務所のスタッフ全員で共有し、徹底することが重要ですね。
情報漏洩のリスクを常に意識しながら、安全な範囲で活用していく姿勢が求められます。

上手なマスキングの工夫

では、具体的にどうやって質問すればいいのでしょうか。
答えは簡単で、固有名詞をすべて匿名化(マスキング)してしまえば良いのです。

「A社はIT業界で、年商規模はこのくらい。社長のBさんが〇〇という悩みを抱えています」といった具合に、一般化して質問文を作ります。
少し面倒に感じるかもしれませんが、慣れてしまえば息をするように変換できるようになります。
安全を第一に守りながら、最新のテクノロジーを味方につけて、日々の業務をもっとラクにしていきましょう。

よくある質問と回答

Q1:プログラミングの知識がまったくない本当の初心者でも、有料版Geminiは使いこなせますか?

Answer
全く問題ありません、私自身もITには疎いほうですから。
Googleアカウントとクレジットカードさえあれば、数分で登録が完了してすぐに使い始められます。
専門的なコードを書く必要はなく、普段お客様とお話しするような自然な日本語で話しかけるだけで答えてくれますよ。
Q2:税理士業務の中で、最も時短になったと感じる作業は何ですか?

Answer
ダントツで「文章作成」と「Excelの数式出し」ですね。
顧問先への資料催促メールや、税務署への簡単な問い合わせの文面など、ゼロから考えると手が止まりがちな作業を一瞬で終わらせてくれます。
会計ソフトからエクスポートしたCSVデータを整える際の、少し複雑な関数をパッと教えてもらえるのも本当に便利です。
Q3:Geminiに申告書の作成や、複雑な税額計算をそのまま任せることはできますか?

Answer
結論から言うと、計算や申告書の作成は今のところ任せられません。
生成AIは文章の作成や要約は得意ですが、電卓のような正確な計算は苦手な傾向があります。
あくまで調べ物のヒントをもらったり、思考を整理するための「優秀な助手」として割り切り、最終的な税務判断は必ず人間の目と専門ソフトで行うことが不可欠と言えるでしょう。
Q4:お客様の情報を入力してしまうのが怖いのですが、安全に使うコツはありますか?

Answer
固有名詞を徹底的に伏せる、いわゆる「マスキング」が最大のコツになります。
「株式会社〇〇」は「製造業のA社」に、「売上高〇〇円」は「年商数億円規模」といったように、特定できないレベルまで情報をぼかして質問しましょう。
機密事項は絶対に入力しないというルールを、ご自身の中で明確に決めておくことが何よりも大切ですね。
Q5:毎月20ドルの固定費がかかりますが、個人事務所でも費用対効果は合いますか?

Answer
月に数時間でも調べ物やメール作成の時間が減れば、十分に元は取れると考えています。
時給換算して考えてみると、これだけ優秀なアシスタントを月額20ドルで雇えるというのは、かなり破格の投資ではないでしょうか。
まずは1ヶ月だけお試しで使ってみて、ご自身の業務スタイルに合わなければすぐに解約するというスタンスでも良いと思いますよ。