税理士のみなさん、今年のまとめとして、令和7年度税制改正で相続税に関わるルールが動いたのを改めて確認しましょう。
5つのポイントでまとめると、物納制度の柔軟化や贈与税特例の延長、事業承継の要件緩和などが柱になっています。これから年末年始にかけて、顧客相談が増えそうなポイントばかりです。

相続税の基礎控除は変わらないの?

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2025年の相続税改正でまず知っておきたいのは、基礎控除額が現行のまま据え置かれたという点です。3,000万円に600万円を法定相続人の数だけ加算するという計算式はそのままです。相続税がかかるかどうかの第一関門であるこの基礎控除が変わらないということは、顧客からの「今年の相続税ってどう変わるの?」という質問に対して、まず「基礎控除は変わりませんよ」と答えられるわけです。

顧客への説明の仕方

実務現場で弥生やfreeeのデータを見ながら説明する際には、具体例を交えて伝えると理解が早いです。例えば、配偶者と子供2人の3名で相続する場合、基礎控除は3,000万円+600万円×3人で4,800万円になります。相続財産がこれを下回れば相続税はゼロです。逆に超える場合は、超えた金額に税率を乗じて計算します。数字を見せながら説明すれば、抽象的な話でも顧客の頭にスッと入りますよね。

税理士としての対応策

基礎控除が変わらないとはいえ、生前贈与の7年ルールが導入された影響で、相続税プランニングの全体像は変わっています。顧客のデータをMFクラウドやSōchōで管理しているなら、過去7年分の贈与履歴を一括で抽出できるか確認しておきましょう。特に高額贈与を繰り返している顧客は、相続税申告時に贈与財産が加算されるリスクがあります。事前に気づけば、対策の時間的余裕が生まれます。

物納制度が変わる理由

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相続税を現金で納付できない場合に、相続財産をそのまま納税に充てられる物納制度の大改正が行われました。これまでの延納年数の上限が一律に定められていたものが、申請者の平均余命に基づいた柔軟な年数設定に変更されたんです。つまり、高齢の相続人であればあるほど、長期にわたって納税を猶予してもらえる仕組みになったわけです。

実務で使える計算方法

平均余命は国税庁が公表している簡易生命表を使って計算します。男性65歳なら19.2年、女性なら23.8年が基準になります。弥生の相続税モジュールやfreeeの相続税プランニング機能では、まだこの計算が自動でできない可能性があるので、Excelでシミュレーションテーブルを作っておくとスムーズです。顧客に提示する際には、年齢と性別を入力すれば自動で猶予年数が出るようなシートを作るとプロっぽいですよね。

顧客への提案タイミング

相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内です。顧問先で相続が発生したら、まず相続財産の現金化が困難かどうかを確認しましょう。不動産や株式が中心で現金が少ないケースでは、物納制度の検討を早期に。特に、相続人が高齢で現金収入が限られている場合は、平均余命を使った長期猶予が有効です。顧客に「税務署と交渉して、できるだけ長く分割で納める方法を探します」と伝えるだけで安心感が違います。

贈与税特例の延長とは

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結婚や子育てのための資金を一括で贈与した場合、1,000万円まで非課税になる特例が2年間延長されました。当初は2025年3月31日で終了するはずだったのですが、令和7年度税制改正で2027年3月31日まで延びたんです。この特例は孫から祖父母への贈与にも使えるので、実務現場ではかなり使い勝手が良いです。

申請手続きのポイント

この特例を使うには、贈与契約書と資金の使途を証明する書類が必要です。例えば、結婚式の見積もりや保育園の入園案内など。弥生の経費精算機能のように、領収書をスキャンして管理するシステムを顧客に提案しておくと、後々の税務調査に備えられます。税理士としては、贈与時に「この書類、必ず保管しておいてくださいね」と丁寧に伝えることが重要です。

顧客との戦略的な話し合い

1,000万円の非課税枠は額としては大きいですが、使い道が限定されているので、顧客のライフプランと照らし合わせて検討する必要があります。例えば、30歳の孫が結婚資金として1,000万円をもらう場合、相続税プランニングとしては、7年ルールを意識してタイミングをずらすのも一手です。顧客とZaimやMoney Forwardで家計収支を確認しながら、贈与のタイミングを最適化する相談をすると、単なる税理士以上の価値を提供できますよね。

事業承継税制の要件緩和

中小企業の後継者が事業用資産を取得する際の贈与税・相続税の猶予制度が、令和7年度から大きく見直されました。事業従事年数に関する要件が緩和されたことで、後継者候補の範囲が広がったんです。これまで「10年以上」など厳しかった要件が、柔軟に判断されるようになりました。

実務申請の流れ

事業承継税の申請は、税務署に対して様々な書類を提出する必要があります。事業計画書、財務諸表、後継者の履歴書など。freeeやMFクラウドで経理データを管理していれば、財務諸表の作成は比較的スムーズです。ただし、事業計画書の将来性や継続性を説明する部分は、数字だけではなくストーリーが必要です。税理士としては、顧客の経営ビジョンを引き出し、文章にしてあげるところまでサポートすると喜ばれます。

顧客との関係性構築

事業承継は単なる税金の問題ではなく、経営者の人生の節目でもあります。税理士が単に申請サポートをするだけでなく、後継者育成のコンサルティングまで踏み込むことで、顧問料以上の価値を提供できます。例えば、後継者候補に対して、経理の基礎を教える研修プログラムを作ったり、弥生の請求書発行機能の使い方をレクチャーしたり。そういった手厚いサポートが、顧問継続率を上げる秘訣です。

相続税申告の実務対応

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令和7年分の相続税申告では、生前贈与の7年ルールが完全に定着します。2024年1月1日以降の贈与が対象になるので、今年中に相続が発生した顧客については、過去7年分の贈与履歴を洗い出す必要があります。弥生やfreeeの顧問先管理機能で、贈与履歴を入力しておいたかどうかを今すぐ確認しましょう。

データ整理のコツ

7年分の贈与データを一括で管理するには、ExcelやGoogleスプレッドシートで専用のテンプレートを作っておくと便利です。贈与日・贈与者・贈与金額・用途・非課税枠の有無などをカラムにして、顧客ごとにシートを分ける構成です。SōchōやZaimのデータをCSVでエクスポートして、ここにまとめていく作業流れを作っておくと、申告時の慌ただしさが軽減されます。

顧客への年間スケジュール提案

相続税プランニングは、相続が発生してからでは遅いのが現実です。そこで、税理士としては「年間相続税チェックリスト」を顧客に配布するのが効果的です。例えば、1月は財産リストの見直し、4月は贈与税の非課税枠確認、10月は事業承継の進捗チェックなど。こういった具体的なアクションリストをPowerPointやCanvaで作って、年明けに顧客に送り付けるだけでも、あなたのプロ意識がアピールできますよね。

相続税の世界は、数字だけではなく人のドラマが詰まっています。改正内容を正確に把握し、顧客の人生に寄り添ったアドバイスができてこそ、真の税理士の価値が発揮できるんです。今日確認した5つのポイントを、すぐにでも顧客との会話に活かしてみてください。

よくある質問と回答

Q1:相続税の基礎控除が変わらないなら、今年と来年で相続税対策は同じですか?
Answer 基礎控除の金額は変わりませんが、生前贈与の7年ルールが影響を与えています。これまでは亡くなる前3年以内の贈与だけが相続財産に加算されていたのに対し、今は7年以内の全ての贈与がカウントされるようになりました。つまり、相続税対策のタイムスケジュールが大きく変わったんです。また、相続時精算課税制度で110万円の基礎控除が新設されたので、小額の贈与戦略も見直す必要があります。顧問先の資産状況によって、対策の内容は変わってくるので、一度データを洗い出して検討してみてください。
Q2:物納制度で延納年数が平均余命に変わると、実務上何が変わりますか?
Answer 申請者の年齢と性別で猶予期間が決まるようになったので、高齢の相続人ほど長期の分割納付が認められるようになりました。例えば、70歳の相続人なら15年以上の猶予が得られる可能性があります。実務では、相続財産が不動産や株式中心で現金が少ない案件で、この制度が活躍します。物納の手続き自体は変わっていませんが、税務署との交渉時に「申請者の平均余命に基づいた最大の猶予期間を設定してください」と請求できるようになったわけです。弥生やfreeeで相続財産の内訳をまとめておくと、金融機関との調整もスムーズです。
Q3:結婚・子育て資金特例が2027年3月31日まで延長されたことで、孫世代への贈与戦略はどう変わりますか?
Answer 延長によって、もう2年間のウィンドウが開かれたということです。顧問先に孫がいて、近々結婚や出産が予定されているなら、この非課税枠を活用するチャンスが広がりました。ただし、重要な点は、この1,000万円の非課税枠は用途が限定されるということです。結婚式、新居購入、出産・保育費などが対象ですが、その他の用途には使えません。そのため、顧客の人生設計と贈与のタイミングを丁寧にすり合わせることが大事です。また、7年ルールとの兼ね合いも考慮する必要があります。例えば、この特例で1,000万円贈与しておけば、その後の通常贈与は相続税のリスクが減る可能性もあります。
Q4:事業承継税制の要件が緩和されたなら、今まで対象外だった後継者でも申請できるようになりますか?
Answer 可能性が高まったといえます。これまで事業従事年数が10年以上など厳しかった要件が、より柔軟に判断されるようになりました。ただし、これは「自動的に対象になる」という意味ではなく、「税務署との判断余地が増えた」ということです。つまり、税理士として顧客の状況を丁寧に説明すれば、以前は認められなかったケースでも申請の可能性が出てくるわけです。事業計画書や後継者の適格性を示す書類をしっかり作り込むことが重要になります。freeeやMFクラウドで過去3年分の財務諸表を整理し、事業の継続性と成長性を数字で示すことが採択のカギになります。
Q5:顧問先から「来年の相続税はいくらかかる?」と相談されたら、何からチェックすればいいですか?
Answer まず確認すべき順序が大事です。第一に、相続人の数と相続財産の総額を把握して、基礎控除の計算をします。次に、過去7年分の贈与履歴がないかを確認します。顧問先の記帳データがMFクラウドやfreeeに入っていれば、そこから関連情報を抽出できます。そして、相続財産に占める現金と不動産のバランスをチェックして、納税方法の検討に移ります。物納や延納が必要かどうかで、対策も変わってくるからです。最後に、生前贈与や事業承継といった複合的な対策の余地があるかを見極めます。この流れを顧問先に説明しながら進めると、「この税理士は信頼できる」という印象が残ります。