税理士のみなさん、明けましておめでとうございます。
2025年のAI業界は「投資から成果へ」という大きな転換点を迎えました。
2026年は、その転換をどう受け止め、どう動くかが、税理士事務所の競争力を左右する年になります。
新年だからこそ、今決めておくべき3つのことがあります。

成果測定の基準を決める

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2025年、多くの税理士事務所がAIツールを導入しました。

ChatGPT、Copilot、freee、マネーフォワード、弥生会計との連携、AI-OCRの導入。

種類も数も増えたでしょう。
でも、その結果「何が変わったのか」を説明できる事務所は、意外と少ないのです。
「導入しました」では、もう評価されません。
2026年は「導入で何を改善したのか」を数字で語る時代です。

「時間削減」を可視化する

具体的には、こうしたことを決めておきましょう。
まず、記帳代行の時間削減。
AI-OCRとクラウド会計ソフトの連携で、以前は月に何時間かかっていた領収書処理が、今は何時間に短縮されたか。
その差を明確にする。
例えば「月30時間の削減」と言えるなら、その30時間は年間360時間。
その時間を何に使ったかまで説明できれば、顧問先への説得力が増します。
月次レポート作成の自動化なら、「手作業では10時間かかっていたものが、AIの下書き機能で3時間に短縮。その7時間で経営分析を深掘りできるようになった」という具合に。

「顧問先への提供価値」を数値化する

時間削減だけじゃ不足です。
その時間を使って、顧問先に何を提供したのか。
補助金提案で月に2件、新しい経営改善案を提示できるようになった。
税務相談の回答スピードが3日から1日に短縮され、顧問先の意思決定スピードが上がった。
こうした変化を「数字」で記録しておくことが、2026年の競争力になります。
決めておくべきは、以下のような指標です。

測定項目 2025年の実績 2026年の目標
記帳代行の月間削減時間 30時間 40時間
月次レポート作成時間 10時間 → 3時間 3時間 → 2時間
税務相談の初期回答日数 3日 1日
月あたりの経営提案件数 2件 4件
顧問先の満足度スコア 3.5/5.0 4.5/5.0

これらの指標を決めておくと、AI導入の意味が明確になります。
年末に「今年は何ができたか」を振り返るときも、同じ基準で評価できるでしょう。

顧問先への提案ルールを決める

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2025年、顧問先から「うちもAI導入した方がいい?」という相談が増えました。
2026年はさらに増えるでしょう。
でも、その相談に対して「導入しましょう」と即答するのは危険です。
DeepSeekの低コスト化で「巨額投資は本当に必要か」という疑問が業界を揺るがした年が2025年でした。
税理士として、顧問先に正しいアドバイスをするルールを、今決めておく必要があります。

「導入のゴール」を先に決める

顧問先がAI導入を考えているなら、まず聞くべきは「何を解決したいのか」です。
単なる「業界トレンド」や「競合が導入しているから」という理由では、導入しない方が正解の場合も多い。
代わりに、こう聞きましょう。
「今、経理業務で困っていることは何か」「その課題を解決すると、経営にどう役立つか」「その結果、具体的にいくら削減または増加するのか」。
これらの質問に顧問先が明確に答えられれば、AI導入は検討する価値があります。
答えられなければ、それは導入タイミングではないかもしれません。

「成果測定の約束」を先に決める

AI導入を勧める場合は、導入後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月でどう評価するかを先に決めておきましょう。
「月の記帳作業が何時間削減されたか」「経営管理がどう改善されたか」「費用対効果はどうか」。
これらを定期的にチェックするプロセスを約束しておくことで、顧問先も安心します。
税理士も「導入して終わり」ではなく、継続的にサポートする姿勢を示すことができます。
顧問先との「AI導入相談ガイドライン」を決めておくと、こんなメリットがあります。

  • 顧問先の無駄な投資を防ぎ、信頼を勝ち取る。
  • 導入後の成果測定を通じて、継続的なコンサルティング関係を構築できる。
  • 「単なる税務申告の税理士」から「経営パートナー」へのポジション転換ができる。
  • 顧問先のAI活用事例が、他の顧問先への営業トークになる。

「人間にしかできない仕事」を明確にする

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AI導入で時間が浮く。
その時間を何に使うかが、税理士の差別化を決めます。

記帳代行の自動化は当たり前。その先の「人間にしかできない仕事」を、今から決めておくことが、2026年の勝負分かれ目

「顧問先の経営課題」を深掘りする時間

例えば、月次レポート作成がAIで自動化されたら、その時間を使って何をしますか。
記帳作業が減ったスタッフは、何に配置転換しますか。
答えは「顧問先の経営課題の深掘り」です。
売上が伸びない理由は何か。
資金繰りが逼迫しているのなら、その根本原因は何か。
新商品を出したいが、投資対効果はどうか。
こうした「数字の背景にある経営判断」を、時間をかけて顧問先と一緒に考える。
それが、AIでは絶対にできない税理士の仕事です。
具体的には、こんな業務に時間を配分するイメージです。

業務内容 2025年の時間配分 2026年の目指す配分 実現するツール
記帳代行 60% 30% freee、マネーフォワード、AI-OCR自動化
決算書作成 20% 10% クラウド会計ソフト、Copilot下書き
経営分析・提案 15% 40% 人間の判断と数字分析
税務相談・コンサル 5% 20% ChatGPT補助、人間の最終判断

記帳代行の60%から30%への削減で、30%分の時間が浮きます。
それを「経営分析」に15%、「税務コンサル」に15%配分するイメージです。

「経営コンサルティング」を新事業化する

さらに進めば、経営コンサルティングを「新サービス」として顧問先に提案する選択肢も出てきます。
月次決算を見て「売上の課題分析」「資金繰り改善提案」「補助金申請サポート」といったサービスを、別途フィーで提供する。
これは大きな差別化になります。
PwC税理士法人やTKC全国会などの大手は、既にこの転換を始めています。
小規模事務所でも、このトレンドに乗ることができます。
むしろ、小規模だからこそ「顧問先との距離の近さ」を活かして、個別の経営課題に丁寧に対応する。
それが強みになる時代が来ています。
2026年、新しい事業の種を、今から決めておきましょう。

  • 事業承継支援:顧問先の後継者育成や事業譲渡のコンサルティング。
  • 資金繰り改善:月次の数字から資金繰りの課題を読み取り、改善案を提案。
  • 補助金・助成金提案:顧問先の事業に合った補助金を探し、申請をサポート。
  • 経営数値目標の設定支援:顧問先と一緒に「来年の売上目標は?」を決め、その達成に向けた月次の進捗をモニタリング。

これらは全て「AIでは代替できない人間の仕事」です。
顧問先からの信頼も深まりやすい。
そして、これが2026年の税理士の新しい付加価値になります。

新年から始める「3つの決め事」

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まとめると、新年から決めておくべき3つのことは:

1. 自事務所のAI導入で、何が改善されたか、数字で決める。

記帳時間は何時間削減されたのか。
顧問先への提案数は何件増えたのか。
それを年末までに測定できるKPIを、今から定義しておくこと。

2. 顧問先へのAI導入相談に、正しい判断基準を持つ。

「導入しましょう」と安易に勧めるのではなく、「何を解決したいのか」「その成果をどう測るのか」を、先に決める癖をつけるということです。

3. AI導入で浮いた時間を、「人間にしかできない仕事」に配分する計画を立てる。

経営分析、資金繰り改善、補助金提案。
そうした高付加価値業務に、スタッフの時間をシフトさせるロードマップを、早めに決めておくと良いでしょう。
この3つを、新年の最初の1ヶ月で決めておくと、2026年の1年間が大きく変わります。
「AI時代の税理士」とは、AIを使いこなす人ではなく、AIで浮いた時間を「人間にしかできない価値創造」に充てられる人です。
そう、AIは道具に過ぎません。
その道具をどう使うかは、あなたの決断にかかっているのです。
新年、その決断を、今からしておきませんか。

よくある質問と回答

Q1:成果測定の基準を決めたいのですが、どんな指標を測るべきか具体的に教えてもらえますか?

Answer
成果測定で最も重要なのは「時間削減」と「顧問先への提供価値」の2つです。時間削減では、記帳代行がAI-OCRで月何時間短縮されたか、月次レポート作成がCopilotの下書き機能で何時間削減されたかを測ります。具体的には「以前は10時間かかっていたものが3時間になった」という数字を記録することです。顧問先への提供価値では、その削減した時間を使って「月に何件の経営提案ができるようになったか」「税務相談の回答スピードが何日短縮されたか」といった指標を測定します。さらに進めば「顧問先の売上改善額」や「資金繰り改善額」といった、ビジネスインパクトまで数値化できれば、最高の成果測定になります。これらを月次で記録しておくと、年末に「今年のAI投資で何を達成したか」を明確に説明できるようになります。
Q2:顧問先から「AI導入した方がいい?」と聞かれたときの、正しい判断基準は何ですか?

Answer
重要なのは「何を解決したいのか」をまず聞くことです。顧問先が「業界トレンドだから」「競合が導入しているから」といった理由なら、導入を急ぐ必要はありません。一方、「毎月の記帳作業に時間がかかりすぎて、経営判断ができない」「請求書管理がバラバラで、売上を把握できていない」といった具体的な課題があれば、AI導入を検討する価値があります。次に、「その課題を解決すると、何が得られるか」を聞きます。経営管理が改善されることで「月1回の経営会議ができるようになる」「資金繰り予測ができる」といった効果を想定できれば、導入は正当化されます。最後に「費用対効果の約束」を決めておくこと。AI導入に月5万円かかるなら、それ以上の効果(時間削減、経営改善)が得られるのかを、3ヶ月後に測定するプロセスを決めておくと、顧問先も安心です。
Q3:AI導入で時間が浮いたら、実際にどうやって「人間にしかできない仕事」に配分すればいい?

Answer
まず、現在の時間配分を把握することからスタートしましょう。記帳代行に月60時間かかっているなら、AI-OCRとfreeeの連携で月30時間に短縮できるかもしれません。その30時間をどう使うかが勝負です。具体的なステップは以下の通りです。まず、スタッフを「記帳専任」から「経営分析補助」へシフトさせます。浮いた30時間のうち15時間を顧問先の数字分析に充て、「売上が前月比で10%減少した理由は何か」を読み込む作業をさせるのです。残る15時間は、税理士本人が「補助金提案」や「資金繰り改善提案」の企画に充てます。このシフトを3ヶ月続けると、顧問先への提案数が月2件から月4件に増えるといった変化が出てきます。その提案が顧問先の経営改善につながれば、顧問先の満足度が上がり、顧問契約の継続率も上がります。つまり、AI導入で浮いた時間は「新しい顧客価値を作る時間」に変わるわけです。
Q4:小規模事務所では、経営コンサルティングを新事業化するのは難しくないですか?

Answer
むしろ小規模事務所こそ有利です。理由は「顧問先との距離が近い」からです。大手事務所では担当者が頻繁に交代しますが、小規模事務所では社長が直接一人の税理士と関係を持つことが多い。その信頼関係を活かして、単なる税務申告から「経営パートナー」へのポジション転換ができるのです。具体的には「月次決算コンサルティング」という形で、月1回の決算報告の際に「今月の売上の課題は何か」「資金繰りをどう改善するか」といった経営分析を深掘りするサービスを、月3万円~5万円の別途フィーで提供します。これは大手事務所にはできない、小規模だからこそできる付加価値です。既に顧問契約がある顧問先なら、新規営業の手間もかかりません。スタッフ側も「記帳専任」から「分析に加わる」へのキャリアアップが実感できるので、事務所内のモチベーション向上にもつながります。小規模だからこそ、AI導入による転換の手応えが、スピーディーに出てくるのです。
Q5:今から3つの決め事を決めても、実際に実行できるか心配です。何か実行のコツはありますか?

Answer
実行のコツは「大きく考えず、小さく始める」ことです。まず、3つの決め事を「全事務所で一気に実行」しようとするのではなく、「パイロット顧問先」を1社選んで試してみてください。例えば、成果測定なら、1顧問先だけで「月次の記帳時間短縮」を3ヶ月間丁寧に測定する。顧問先への提案ルールなら、新規のAI導入相談をする際だけ、「目的」「成果測定」「フォローアップ」を約束する形で進めてみる。こうした小さなパイロットを3ヶ月続けると、成功パターンが見えてきます。その成功パターンを他の顧問先に展開する。こうしたスモールスタートが、実行の鍵になります。また、スタッフ側の意識転換も大事です。「記帳時間が短縮されたら、その分を何に使うのか」を、スタッフ全員で話し合う時間を月1回持つ。そうすることで、事務所全体が「AI導入で何を目指しているのか」を理解し、同じ方向に動けるようになります。実行は「完璧に」ではなく「続けられる形で」が正解です。